妊娠中に血糖が高くなることで発症する病気の一つに、妊娠糖尿病がありますが、妊婦さんの8%前後が妊娠糖尿病と診断されるようです。
そこでこの記事では
- 妊娠糖尿病の種類は?
- 検査方法は?
- 妊娠糖尿病が母子に及ぼす影響は?
- どんな治療法があるの?
という疑問に注目し、妊娠糖尿病について分かりやすく解説しています。
妊婦さんに発症する妊娠糖尿病とは?
妊娠すると胎盤からでるホルモンの働きで、血糖の調節を行うインスリンの働きが抑えられます。
すると血糖値が上がりやすくなり、糖尿病の数値が出る・症状が出ることを妊娠糖尿病と言います。
妊娠糖尿病は3つのタイプに分けることができます。
- 妊娠糖尿病:妊娠中に発見または発症した糖尿病のことで、軽度の糖代謝異常のこと
- 妊娠中の明らかな糖尿病:妊娠前から糖尿病があったかもしれない(発見されていなかった)糖代謝異常のことです。
- 糖尿病合併妊娠:糖尿病患者が妊娠した状態です。
妊娠前から糖尿病を患っていたり、妊娠中の明らかな糖尿病と診断された場合は、妊娠糖尿病より症状が重いので、血糖のコントロールがとても大切になります。
[ad01]
妊娠糖尿病の治療法
主に食事療法・運動療法・薬物療法の3つがあります。
食事療法
- 栄養バランス・カロリーの管理
- 規則正しく食事
- 鉄やカルシウムの多い食品を摂る
- 塩分を控える
糖尿病治療の中では軽度のもので、野菜やキノコ類などの食物繊維を摂ったり、ご飯の食べる順番を意識する、よく噛んで食べるなど、食事全般での治療が含まれます。
運動療法
- 1日30分程度の歩行運動を週3~4回行う
- ジョギングや水泳などの全身運動(有酸素運動)
- ダンベルを使ったり、スクワットで全身に負荷をかける
定期的に運動することで、血糖コントロールの改善を見込めますが、妊娠の状況次第では運動できない場合もあるので、主治医に相談して運動メニューを決めましょう。
薬物療法
- インスリン療法
食事療法で血糖値の改善が難しい時に必要な治療法です。
妊娠糖尿病の治療で重要なことは、血糖の管理で、食前100mg/dl未満、食後2時間120mg/dl未満、HbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)は4.3~5.8%を目標に治療を行っていきます。
妊娠糖尿病の検査方法
初期の妊婦健診の際に行う血液検査・母体血清マーカー検査・新型出生前検査(NIPT)などがあります。
この検査の際に血糖値が高いと、ブドウ糖負荷試験(糖分の入った検査用水を飲む)で、正確な数値を調べることもあります。
具体的には以下の時間の血糖値の様子を計測して判断します。
- 空腹時血糖 92mg/dL以上
- 1時間後の血糖 180mg/dL 以上
- 2時間後の血糖 153mg/dL以上
上記3項目のうち、1つでも当てはまると、妊娠糖尿病と診断されます。
前回の定期健診では問題が無くても、1カ月後の定期健診で血糖値が上がり、妊娠糖尿病と診断されることもあります。
少しでも妊娠糖尿病にならないために、日々の食事に気を付け、適度な運動を心がけることで、発症の確立を抑えることができます。
妊娠糖尿病になるとどんな影響があるの?
妊娠糖尿病は、母体だけでなく赤ちゃんにも合併症をもたらすため、治療が必須となります。
母体に及ぼす影響
- 帝王切開の確率が上がる(赤ちゃんの巨大化が原因となることもあります)
- 難産(赤ちゃんの巨大化が原因となることもあります)
- 羊水過少・羊水過多などの羊水量以上
- 子宮内で胎児が死亡する
赤ちゃんに及ぼす影響
- 巨大児
- 新生児黄疸(皮膚や白目の色が少しずつ黄色味を帯びる)
- カルシウムの不足
- 出産後の呼吸障害
- 小児期~成人期のメタボリックシンドローム
このように妊娠糖尿病になると、母子ともに様々な影響を受けることが分かります。
しかし幾つもの治療法があるので、妊娠糖尿病と診断されたからと言って、健康な赤ちゃんが生まれないわけではありません。
主治医と相談しながら、少しずつ対応していきましょう。
[ad01]
妊娠糖尿病になりやすい人
冒頭で、妊婦さんの8%前後が妊娠糖尿病と診断される事に触れましたが、妊娠糖尿病になりやすい方の特徴もあります。
- 肥満
- 家族に糖尿病の人がいる
- 35歳以上での妊娠
- 原因不明の流産・早産・死産の経験がある
- 妊娠高血圧症候群の人
これらの特徴に当てはまっている方は、妊娠糖尿病が発症していなくても、血糖値の上昇に気を付けて、食事制限や運動を意識するようにしましょう。
妊娠糖尿病が発症しても落ち着いて対処しましょう
この記事では妊娠糖尿病についてまとめてきました。
妊娠糖尿病の怖いところは自覚症状がなく、血液検査によって発見されるため、発症しているかいないかを確かめにくいところです。
そのため妊娠が分かった時から血糖値の変動を意識し、栄養バランスを考えた食事や適度な運動を心がけ、妊娠糖尿病が発症しないように注意しましょう。
万が一発症しても、医師と共に対処法を辛抱強く実施することで、数値を抑えたり、症状を回復させることができるので、焦らないようにしましょう。
コメント