ネズミが地雷探知できるの?って思ったかもしれませんが、ただのネズミではないんです!
どんなネズミに金メダルが送られたのか、そしてカンボジアにはどれくらい地雷が埋まっているのか、カンボジアで地雷撤去に奮闘する日本人についてまとめました。
カンボジアで地雷探知に貢献したネズミに金メダルが送られた
今回地雷探知に貢献したとして、金メダルが送られたのは、アフリカオニネズミの「マガワ」です。
アフリカに生息している、体長25~45cmのこのネズミは、ベルリンの慈善団体「APOPO」による訓練を受けて、地雷除去のスペシャリストアニマルになりました。
このネズミが持つ実績はすごいもので、過去4年間に39の地雷と、28の不発弾を見つけてきました!
ネズミの「マガワ」君の働きにより、何人もの命が救われたと思うので、まさに金メダル表彰に値する働きです。
ちなみに今回の金メダルは、イギリスの動物愛護団体PDSAが送ったもので、普段は人間の生活に貢献した犬や他の動物を表彰していますが、ネズミがメダルを受賞したのは初めてのことのようです。
ネズミは地雷探知に適しているのか?
ネズミには嗅覚受容体が1000種類(人間は350種類)あり、この数が多いほど、嗅覚能力が優れています。
つまりネズミは人間の約3倍の嗅覚能力があるんです!
もちろん、訓練も何もせずに地雷探知ができるわけではなく、地雷の中に仕込まれている火薬などの臭いをかぎ分ける能力が必要なので、訓練は必須です。
今回表彰されたネズミのすごいところは、素早く身軽な動きにより、人間だと地雷探知のために4日間かかる広さを、わずか30分で探知したことです。
すごくないですか?!
人間が地雷探知をする時は、巨大な地雷探知機を使って一つ一つ慎重に探していきますが、ネズミの場合、万が一地雷の上に乗ってしまっても体重が軽いので起爆装置は起動せず、安全に地雷を検知することができます。
そして地雷の探知速度も速いので、少ない時間でたくさんの場所を調べることもできます。
カンボジアにはまだまだたくさんの地雷がある
多くの方はカンボジア=内戦がひどかった国というイメージを持っていますが、まさにその通りです。
2020年現在もカンボジア国内には400~600万個の地雷、240万個以上の不発弾があると言われており、2019年の地雷・不発弾による被害者数は、死者12名、負傷65名(うち手足切断16名)です。
田舎に行けば、地雷が埋まっていることを示すどくろマークの看板が今でも掲げられていますし、命を落としている方も毎年いることから、内戦の影響は現在まで続いているといえます。
ちなみに、内戦が始まった1979年から2019年までの累計で、地雷・不発弾による死者は1万9780名、負傷4万5075名(うち手足切断9049名)となっています。
カンボジアで地雷処理に励む日本人
彼の名前は高山良二さんです。
現在認定NPO法人 国際地雷処理・地域復興支援の会(IMCCD)の理事長である高山さんは、カンボジアのバッタンバン州で地雷撤去を専門とする組織を立ち上げています。
主な活動内容は、現地の村人を雇用して仕事を作り、日本人地雷処理専門家が地雷処理の技術を教え、村人自らが村の地雷を除去できるように訓練することです。
2011年から始まったこの取り組みにより、現在までに以下の地雷・不発弾を撤去してきました。
- 対人地雷:677個
- 対戦車地雷:193個
- 不発弾:1,377個
- 金属片:113,193個
高山さんが取り組んでいるのは、地雷処理だけでなく、インフラ整備・井戸掘削、地場産業の発展指導、日本企業の誘致支援などです。
高山さんの取り組みの中で注目したいのは、地雷処理の他に、地場産業の発展指導です。
具体的には、地雷が除去された畑で、キャッサバ芋を栽培し、収穫した芋から芋焼酎を作って販売するルートを完成させたことです。
この芋焼酎は「ソラークマエ」(カンボジアの酒という意味)と呼ばれ、お土産屋さんや空港で販売されており、地雷処理の活動をさらに広めるとともに、地元民のビジネスチャンスを作り出す機会となっています。
そして地雷原から生まれたこのお酒が「カンボジアの誇り」・「平和の象徴」になることを目指し、毎日奮闘しています。
高山さんの活動についてさらに知りたい方は>>IMCCDについて
高山さんの著書「地雷処理という仕事 カンボジアの村の復興記」もあります。
管理人のコメント
まずは冒頭で述べたネズミですが、単純にすごいと思います。
ねずみの長所を生かし、上手に訓練することで大勢の人間の命を救い、近隣住民に平和や安心感をもたらすことができるからです。
管理人も地方に行って地雷が埋まっていることを示す看板を見るまでは、カンボジアの歴史をあまり気にしていませんでしたが、自分の目で地雷の看板を見た時に、内戦の恐ろしさを感じて身震いし、歴史について勉強しました。
それと同時に復興に向かって歩んでいるカンボジア人を見て、彼らの強さを見ることもできています。
次に地雷処理に励む高山さんのことですが、素晴らしい取り組みをされていますね。
妻は高山さんと面識があり、少し話を聞いたことがありますが、カンボジアへの愛があふれている方のようです。
これからもこの活動が多くの方に広まるよう、陰ながら応援していきたいです!
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